ただようまなびや 文学の学校

The Drifting
Classroom

The Art of Writing, Reading and Translating

2015.11.28-29

Manifesto

ただようまなびや宣言2015

発表します。今年のテーマは「肉声、肉筆、そして本」です。それってどういうことなんだろうとあなたは思うかもしれない。肉声って、いつものこの声のことじゃないか、と。その通り。でも、本当に〈いつものその声〉で、あなたはあなたを知らない人に話しかけられますか? あるいはあなたの親の前で、あなたの子の前で、友だちといる時も、心から〈肉声〉で話せていますか? そして、最近、本当にペンを持って、いろんな筆を持って、自分の手で文字を綴りましたか? 当たり前だけれども、あなたの字はきれいかもしれないし、へたかもしれない。しかし、肉筆は、まるで指紋のようにひとつです。さあ、今年の『ただようまなびや』には海外からも先生がいらっしゃいます。さまざまなジャンルで本に関わり、本を作っている先生方が、オリジナルな声の、文字の力を全力で教えます。PC類は使用禁止、が今回のルールです。本当の声に耳をすまし、語り、書き、学びましょう。多くのみなさんの参加を、待っています。


2015年8月28日  学校長 古川日出男

The Drifting Classroom
Manifesto 2015

Our theme this year is: Real Voice, Handwriting―and Books. You might wonder what this means. You might think that real voice is nothing but your usual voice you always speak with. Right, but can you really talk to someone you do not know using your real voice? Or can you really speak up, with your real voice, face to face with your parents, with your children, or when you are with friends? And what about writing by hand? Have you recently done it using pen or brush? Maybe your handwriting is beautiful, or maybe it’s awful—that’s only natural. But either way, your writing is unique, just like fingerprints. Once again the Drifting Classroom will have major talents as teachers, including one from overseas. They are all involved in the art of creating books, and they will share with you the power of natural voice, the power of writing. So this year’s rule is: No computers! Let us listen to real voice: let’s talk with our own voice, write with our own hand, and learn. We look forward to seeing you in the Drifting Classroom.

Hideo Furukawa
Headmaster
August 28, 2015

Timetable

時間割

参加希望の講座をクリックして選択後、下記入力フォームに必要事項を入力していただき、 「入力内容を確認する」ボタンをクリックしてください。

11月28日(土)

11月29日(日)

Program

プログラム

11月28日(土)

  • ディスカッション
  • 耳と目と口と手のために
  • 川上未映子+華雪+古川日出男
  • ディスカッション
  • 耳と目と口と手のために
  • 川上未映子+華雪+古川日出男
  • 言葉の不思議を真剣に考えてみましょう。たとえば1冊の本がここにある。それをあなたは黙読もできるし、読み上げることもできる。そもそも著者になれば、その本を「書いてしまった」ことにだってなる。でも、書き方だってさまざまです。パソコン? スマホ? 万年筆? 毛筆? いいえ、ただ口にするだけで他人に聞き書きしてもらうことだって可能です。そして聞いているだけだって、言葉はそこに存在しています。タイプの異なる二人の小説家と一人の書家が、それぞれの立場から語り出します。まずはこの鼎談からです。
  • 定員:140名
  • レクチャー
  • 小説の声に耳を澄ませてみる
  • 豊崎由美
  • レクチャー
  • 小説の声に耳を澄ませてみる
  • 豊崎由美
  • たくさん読む? 速読術? そんな本の読み方に憧れないでください。小説は速く読まれるためではなく、深く読まれるために在るからです。「良く読む者は、良く書く」。わたしはそんなタイプの小説家が好きですが、実はブックレビューもまたそうなのです。1冊の本を、ゆっくり丁寧に深く読む。まずは、そこから、です。そこからしか始まらない書評の話、書評の書き方について、わたしは皆さんにしてみたいと思っています。
  • 定員:30名
  • ワークショップ
  • ふくらむ言葉、物語
  • 川上未映子
  • ワークショップ
  • ふくらむ言葉、物語
  • 川上未映子
  • はっとする短歌に出会うたびに、「もし、これらを散文にしたら、いったいどんなものになるだろう」と夢想してきました。
    いくつか挙げたなかから一首を選んで、その歌をもとに、原稿用紙5枚程度の物語をつくってください。
    印象に残った言葉、感情、風景、関係……とっかかりはなんでも大丈夫です。言葉と物語が動きだす瞬間を、様々にふくらんでゆくさまを、みんなで体験したいと思います。
  • 定員:20名
  • ワークショップ
  • 小説を読む、訳す
  • レアード・ハント+柴田元幸
  • ワークショップ
  • 小説を読む、訳す
  • レアード・ハント+柴田元幸
  • 小説『優しい鬼』(レアード・ハント著、柴田元幸訳)の一節を選んで、原文・訳文の両方を訳者が提示し、どうしてそのように訳したかを解説・弁明し、それに著者・受講者がコメント・質問し、原文に対する理解を深めた上で、受講者それぞれが新しい訳文を作成する。授業は基本的に日本語で行なう。通訳(柴田の予定)を介して著者にも自由に質問できる。
  • 定員:15名
  • ワークショップ
  • 歴史年表をつくる
  • 開沼博
  • ワークショップ
  • 歴史年表をつくる
  • 開沼博
  • その場の参加者全員の記憶をもとにしてその場でしか立ち現れえない「歴史」を自分たちの手でつくります。参加者の記憶や思い出を、可能な限り具体的に年月日と当時の文脈を具体的な「歴史記録」として記述する。さらにそれらに参加者全員で厚みを持たせていく。自分たちの手を動かし、話をしながら実際につくる体験をし、その中で、自分たちが生きてきた社会がいかなるものなのか振り返ることで、歴史に親近感を感じたり、歴史から学んだり歴史ができていくプロセス自体を体験したりできればと思います。当然、震災前後の歴史も、誰かに与えられているような単純な話ではない、豊かなものとして意識されるようになります。
  • 定員:35名
  • ワークショップ
  • 筆跡の声、声の波紋
  • 華雪+古川日出男
  • ワークショップ
  • 筆跡の声、声の波紋
  • 華雪+古川日出男
  • 文字はどんなふうに書かれて、言葉はどんなふうに響くのか。実際に小説家の古川日出男が声に出すテキストを、書家の華雪が文字化します。そこに立ち会う時、あなたは何を思うのか。その「思ったこと」をどんどんと掘り下げていき、講師たちにフィードバックし、みんなで共有しましょう。おしまいには全員の声が「織り込まれている書」を産み出すことが、このワークショップの目的です。学び、聞き、見て、交わりましょう。
  • 定員:30名
  • ディスカッション
  • 本とのいろいろな関わり
  • 柴田元幸+開沼博+豊崎由美
  • ディスカッション
  • 本とのいろいろな関わり
  • 柴田元幸+開沼博+豊崎由美
  • 本を作る人を作家と言います。ついつい小説家やノンフィクションの物書きなどを作家の代表としてイメージしがちです。けれども、英米文学を翻訳している翻訳家も、社会を的確に見据えてそこに暮らす人々の声を拾う社会学者も、がりがりと本を読んで書評をする書評家も、やっぱり各自がそれぞれに本を作っていたりします。しかも強力に機能する「最強のツール」としてです。いったい社会にとって、この世界にとって、本とは何なのでしょう? そんな疑問に迫ってみる鼎談です。
  • 定員:140名

11月29日(日)

  • ワークショップ
  • 批評を書いてみる
  • 開沼博
  • ワークショップ
  • 批評を書いてみる
  • 開沼博
  • 批評を書いてみます。インターネットの登場以来、誰もが自分の意見を文章にして全世界に向けて発表することが可能になってきました。その中で、何かを批評する文も様々に生み出されています。批評とは何か。定義は様々にありえるでしょうが、少なくとも「否定」とイコールではないことは確かです。潰し合い、揚げ足取りではない、素晴らしい批評は、批評する対象が抱える「誰も気づいてない魅力」を掘り起こすことにあるでしょう。対象はなんでも良いです。文芸作品や音楽、美術の批評でもいいですし、ゲームでも植物でも本でも飲み屋でもなんでも。事前に書いてきてもらい講義の中で皆で批評文を批評し合います。テーマは自由。分量は数百字から数千字。(ただし、講義時間が限られているので長すぎるのは困ります。)
    ※宿題に関しては事前の提出が理想的ですが、事情のある方は当日持参も可能です。その旨をただようまなびや事務局にお知らせください。
  • 定員:25名
  • ワークショップ
  • 翻訳「文体練習」
  • 柴田元幸
  • ワークショップ
  • 翻訳「文体練習」
  • 柴田元幸
  • 翻訳は基本的に「創造」であるよりもはるかに「再現」の営みだが、今回はあえて、その「創造」的な面を実感できるような練習をしてみたい。……と書くと物々しいが、ある文章や概念がいろんな形に翻訳されうることの不思議を実感してもらえる場になればと思う。……と書くとかえってわかりにくいが、要は、レーモン・クノー『文体練習』朝比奈弘治訳(朝日出版社)のようなことをやろうと思っている。……といってもこの本、やや高価で図書館にもないかもしれないので、まずはウェブ上のアンサイクロペディア「文体練習」のなかなか創造的な記述を見てきてほしい:
    http://ja.uncyclopedia.info/wiki/文体練習
    準備はひとまずそれだけで、参加には英語などの語学力も不要。
  • 定員:15名
  • ワークショップ
  • エモーション・ブースター・プロジェクト
  • 古川日出男
  • ワークショップ
  • エモーション・ブースター・プロジェクト
  • 古川日出男
  • たとえば10人のプロの小説家がいたとして、同じアイディアを提供されたら、同じような小説を書き上げるか? 答えはノー。ほぼ確実に10作の別々の小説が誕生する。けれども、プロの小説家でもなんでもない人間が、とても面白い出来事に直面して、それを20字以内で「面白い」という言葉を使わずに表現しろとの課題を出されたら、どうなるか? この課題を悩まずにこなせるか? そもそも感情(エモーション)とは。ライティングの出発点を見出すためのワークショップ。少数精鋭、がっつり行きましょう。
  • 定員:10名
  • 観劇付きワークショップ
  • 小説の声に応えてみる
  • 豊崎由美 ゲスト・三浦直之
  • 観劇付きワークショップ
  • 小説の声に応えてみる
  • 豊崎由美 ゲスト・三浦直之
  • 課題本をもとに実際に書評を書き、それを参加者全員で合評する場になります(課題本ならびに提出ルールは、後日、事務局のほうから詳細をお知らせいたします)。提出は「絶対」ではありませんが、書いて参加したほうが楽しいので、余裕のある方は課題本を読んでくるだけでなく、書評も提出してみてください。また、劇団「ロロ」の主宰者である三浦直之さんに、課題本をもとにした一人芝居を上演していただきます。小説の声に応える三浦さんの声を聞くのが、わたしはとても楽しみです。
  • 定員:30名
  • ワークショップ
  • 「息」を書く
  • 華雪
  • ワークショップ
  • 「息」を書く
  • 華雪
  • そのふるまい自体を強く意識せず、わたしたちは日々声を出し、文字を書いているように思います。まして〈息〉をすることなどはなおのこと、ほとんど意識もなく「生きて」いるかもしれません。
    「息」という漢字の象形文字はどんなものだと思いますか。そしてこの字の意味を、みなさんはどんなふうに捉えていますか。声を出すにも文字を書くにも〈息〉がそこにあります――生きているということがどういうことかを考えるとき、呼吸はとても大事です。では、それらすべてを意識してみるとどんなことが起きるのか。
    あなたが感じ、思い、考える〈息〉を、かたち=書として、その文字の象形や意味を、発語する、書くことを意識して、あらわす試みの時間です。
    ※「息」の文字を書いてみたいと思うもの――もちろんこちらでも紙はさまざまな種類を用意しておりますが、自分にとって思いがあるもの、たとえば紙であってもなにかの切れ端であったり、ポスターやチラシ、段ボールや木っ端、葉っぱでも、なにか思いつく方はご持参ください。また、ご自身が使いたい筆をお持ちの場合もお持ちいただければと思います。なお、当ワークショップには汚れてもよい服装でご参加ください。
  • 定員:15名
  • ワークショップ
  • 耳と目で読む「たけくらべ」
  • 川上未映子
  • ワークショップ
  • 耳と目で読む「たけくらべ」
  • 川上未映子
  • 言葉にふれるとき、耳と目にはいったい何が起きているのでしょうか?
    「たけくらべ」の原文と現代語訳を音と文字で同時に体験し、そこにあらわれる張りつめと調和を味わいます。
    また、印象的な一文を抜粋し、みんなで現代語訳します。
  • 定員:30名
  • ワークショップ
  • 英語で物語を書く
  • レアード・ハント
  • ワークショップ
  • 英語で物語を書く
  • レアード・ハント
  • 授業名どおりの授業であり、一人ひとりが英語の小さな物語を作ることをめざす。授業は通訳を介さず英語で行なわれるが、講師は元NOVA教師で英語が苦手な人への対応は慣れているし、人柄も優しい。準備としては、写真や絵など、「これを元に物語を書きたい」と思うものを一点持ってくるように、とのこと。(柴田記)
  • 定員:10名
  • 朗読とディスカッション
  • 想像力はどう学べるか?
  • 川上未映子(朗読)+古川日出男(朗読・ディスカッション)+レアード・ハント(ディスカッション)+柴田元幸(司会)ほか
  • 朗読とディスカッション
  • 想像力はどう学べるか?
  • 川上未映子(朗読)+古川日出男(朗読・ディスカッション)+レアード・ハント(ディスカッション)+柴田元幸(司会)ほか
  • 私たちは既存の学校で正解の出しかたは学べます。さまざまな規律も学べます。でも、想像力に関してはどうでしょう? 私たちと違う価値観に生きて、私たちとは異なる環境・状況の中にある人々への、共感の力はどうでしょう? このプログラムでは日米のボーダーを越えた小説家たちが、その朗読する声から、その語り合う声の内側から、直接に想像力の多様なありようを伝えます。当日、特別ゲストも登壇予定です。
  • 定員:160名

Exhibitions

作品展示

ただようまなびや 文学の学校2015 Exhibition Program
「肉声、肉筆、そして本」

本年の「ただようまなびや 文学の学校」の開催の一環として、2名のアーティストによる作品展示を行います。

日 程
2015年11月26日(木)ー11月29日(日)10:00ー19:00 ※最終日は16:00最終入場
会 場
市民ふれあいプラザ(福島県郡山市駅前二丁目11-1 ビッグアイ6階)
入場料
無料

展示作品

  • #soundsandthings
  • 大森克己
  • #soundsandthings
  • 大森克己
  • 世界を見つめなかったら言葉なんて出てこない。これは一つの真理だ。でも、じゃあ私たちはどんなふうに世界を「見て」いるのか? このことを体感させる装置に写真がある。同じ場所を旅し、同じ場所を共有しても、そこにいる二人が、あるいは三人が、百人が、シャッターを押す瞬間は(そして対象も)別々だ。大森克己のこの展示はインスタグラムを利用して、そもそも私たちの見ている「光景」とつながっている。でも、あなたの郡山と大森克己の郡山は同じか? それを考える時、あなたの口から言葉は出る。指先から言葉は走り出て、文字を綴る。これこそが写真の教えてくれることだ。そしてもう一つ。あなたはこの展示を肉眼で見るだろう。大森克己も肉眼で見て、しかし間にカメラという装置を(それからプリントの過程を)挟むだろう。写真そのものは肉眼の「光景」とは違う。ここからあなたは、そして私たちは、何を教わることができるだろうか? 学校長 古川日出男
  • 2011年春に東京から福島へ旅をして「すべては初めて起こる」という作品を制作した私は、人が何かを見るときに、可視、不可視を問わず、さまざまなレイヤーを通して見ているのだ、ということを確信しました。そして改めて、匂いや、手触りや、音といった目に見えない様々なものと、目に見える(あるいは、目に見えると思い込んでいる)ものとの関係を探る “ sounds and things “ というプロジェクトに取り組みはじめました。そのプロジェクトを続けていくなかで、昨年末に新しいカメラを手に入れました、って i-phone 6 なんですが。いろいろ触って試してみたらこのデヴァイス、なかなかの性能で、ほんとうに写りが良いし携帯性も機動力も高い。当たり前ですね。ケータイなんだから。そして、いまや世界中で「普通の眼差し」になりつつある スマートフォンのカメラで撮影する “ #soundsandthings “ というプロジェクトを” sounds and things “ と平行して開始しました。知っているものが知らないもののように見える時、知らないものが知っているもののように見える時に撮影するのはフィルムを使っているときと同じなのですが、デジタル写真は SNS やインターネット上で他人とかんたんに共有できるっていうのが、ひとつ以前と違うところですね。そして、あまたある SNS のなかでも Instagram がこのところ自分の写真を公開する重要な実験場になってきました。自分の写真を様々な人が見てくれるということはもちろん楽しいのですが、それよりも、#(ハッシュタグ)という機能によって、自分の写真があるひとつの言葉、#なんとか、を軸にしてまったく知らない人が撮影した写真や映像と一緒のグループに分類されることにドキドキします。例えば、#土門拳とか # williameggleston と自分の写真にタグ付けすることで、Instagram 的「写真史」のなかに自分の写真が、自動的に組み込まれる訳です。#khorsabad によって、ルーヴル美術館の古代オリエントの展示品が、同時にイスラミック・ステイトにもつながっていく。#を考えることは、写真や映像を見て、そこに写っているものだけでなく、そのなかの目に見えづらい様々なレイヤーをどのように言語化するのか、というレッスンでもありますね。「#すべての女は誰かの娘である」も「#ここはメンフィスではない」も「#towerofmusiclover」も「#国道6号線」もことばであって、写真ではない。でも、それはみんな写真を撮るということ、写真を見ること、写真を考えること、ひいては世界を見ること、考えることから出てきたことばなんです。大森克己
  • UKAWA'S TAGS FACTORY(完結編)
    1000 Counterfeit Autograph!!!!!!!!!!+77 Spiritualists Possession
  • 宇川直宏
  • UKAWA'S TAGS FACTORY(完結編)/1000 Counterfeit Autograph!!!!!!!!!!+77 Spiritualists Possession
  • 宇川直宏
  • 自分の手で書いたら、それは肉筆だ、との発想は捨てたほうがいい。なぜならば、そこには「肉筆こそが本物」との思い込みがあるからだ。その思い込みを簡単に叩き割ってしまうのがこの宇川直宏の展示だ。会場内に入ると呆然とするだろう。そこにはあふれんばかりの肉筆、肉筆、肉筆がある。これはいったい何人の肉筆なのか? 百人? いや、千人を超える。だが、違うのだ。これは単に一人の肉筆なのだ。作者、宇川直宏の。しかしながらそこには、「偽サイン」を作ろうとする宇川直宏に憑依した百人、いや千人超の「誰か」がいる。それらの「誰か」は確かに本物の肉筆を有していた。そこには大きな価値があった。だが、その肉筆が憑依して宇川直宏に書かれる時、そこにも同じように価値はあるのだが、価値の「存在する場所」がまったく変わってしまっている。これは、すなわち、価値観のよりどころをシェイクする展示だ。本当に肉筆を綴ろうと考えた時、まずは立ち止まり、この場でめまいを覚えよう。その後に、あなた自身の肉筆が現われる。はずだ。 学校長 古川日出男
  • 日頃からサインを求められるたびに、他者の筆跡を模写したサインをまき散らし、オマージュに勤しんできた宇川直宏が、日夜密かに修行を積んでマスターした"セレブリティー1000人"のサインが、10年の歳月を経て遂に完結!!!!!!!!!! 2004年、青山スパイラルホールで100枚展示/販売、2009年6月に恵比寿リキッドルーム2F、Time Out Cafe ギャラリーで300枚を展示/販売、同年9月、大阪GalaxyGallery にて500枚を展示/販売、大盛況を得たあのプロジェクトが遂に1000枚に到達し、全体系を露にした完結編が、2014年1月に白金の山本現代で行われた『宇川直宏/UKAWA'S TAGS FACTORY!!!!!!!!!!(完結編)/1000 Counterfeit Autograph!!!!!!!!!!』である。そしてなんと今回は2015年4月、鞆の津ミュージアムで"憑き下ろし"た(番外編)=スピリチュアリスト77人の憑依サインを更に追加し、1077枚に補強された完全コンプリートヴァージョンでの初エキシビジョンである。今世紀、TAG で世界を開示出来ると宣言する宇川は、このプロジェクトによって、知名度や希少価値、人気度や個人的想いによって様々な価値変動をみせる”サイン色紙”の世界に本格的に斬り込んだ。そして、文字通り『千人斬り』という男のロマンを、戦国武将の人斬りでも、昭和ジゴロの女体斬りでもない方法で、自らをトランスさせ達成させた、他者との魂の接触、言い換えれば『千人憑依』の記録なのである。これら、憑依サインシリーズは「オリジナルを検索→ デジタル・アーカイヴィング→ サイン書写訓練→ 身体憑依→ サイン着床」という、ネット以降/クラウド時代だからこそ実現できた極めて今世紀的なメディアアート作品であり、写経的修行感や、"おふでさき"的トランス感、グーテンベルグ以降の印刷/コピー技術の変遷、また、偽サイン/ネットオークションへの啓発、社会生活に於けるサインの意味性、アートビースに内在される匿名性と作家性を問う、純粋な美術表現である。そしてビッグデータの処理技術と同じく、収集、取捨選択、保管、検索、共有、転送、解析、可視化がこれら憑依サインシリーズの課題となっているのだ!!!!!!!!!!!! にも関わらず、自らの筆跡が滲み出て、完全に自我を打ち消すことが出来ず苦悩を重ねる宇川!!!!! この色紙の上には、確かにペン先にセレブリティーを降霊させようとする宇川本人がいる!!!!! そう、これはテクニカルに偽造された贋作の展示/即売会などでは毛頭ない。匿名性と作家性の鬩ぎあいから染みだしたギリギリのアートピースが描き出す、コンセプチャル・ウォーズなのである!!!!!!!!!!!! 宇川直宏

Teachers

講師

開沼博(かいぬま・ひろし)
開沼博
(かいぬま・ひろし)

1984年福島県いわき市生まれ。福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員(2012-)。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。 著書に『はじめての福島学』(イースト・プレス)『漂白される社会』(ダイヤモンド社)『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』 (同、佐藤栄佐久氏との共著)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。学術誌の他、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。

他に、
楢葉町放射線健康管理委員会副委員長(2015-)。
経済産業省資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会原子力小委員会委員(2014-)。

これまでに、
読売新聞読書委員(2013-2014)。
復興庁東日本大震災生活復興プロジェクト委員(2013-2014)。
福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)ワーキンググループメンバー(2011-2012)。

第65回毎日出版文化賞人文・社会部門。
第32回エネルギーフォーラム賞特別賞。
第6回地域社会学会賞選考委員会特別賞。

華雪(かせつ)
華雪
(かせつ)

書家。1975年、京都府生まれ。92年より個展を中心にした活動を続ける。また、〈文字を使った表現の可能性を探る〉ことを主題に、国内外でワークショップを開催。舞踏家や華道家など、他分野の作家との共同制作も多数。 刊行物に「石の遊び」(平凡社)、「書の棲処」(赤々舎)、「ATO 跡」(between the books)、「それはかならずしも遠方とはかぎらない」(hiromiyoshii)ほか。「コレクション 戦争×文学」(集英社)をはじめ、書籍の題字なども手がけている。
www.kasetsu.info

川上未映子(かわかみ・みえこ)
川上未映子
(かわかみ・みえこ)

1976年大阪生まれ。音楽活動ののちに詩を書き始め、小説も書く。短いのや長いのや、色々と書いている。趣味らしい趣味もなく、興味があるのは、「生まれてきたものと、生まれてこなかったもの、そしてみんなが死んでゆくこと」や 「なぜ人生は一度しかないのだろう」というようなことで、詩にしても小説にしても、なんだかこの問題のまわりをただ当てもなく、ぐーるぐーるとめぐっているように思ったり。 料理が嫌いで苦手だけれど、子どもを生んで、もう3年くらいお料理地獄を生きています。

柴田元幸(しばた・もとゆき)
柴田元幸
(しばた・もとゆき)

1954年東京生まれ。翻訳家、東京大学文学部特任教授。この四半世紀にわたってポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、ケリー・リンク、 ブライアン・エヴンソン、スティーヴ・エリクソン、レアード・ハントなど、現代アメリカ文学の多彩な才能・名作をみずからの眼識で選び、日本語で紹介しつづける。 現在、日本の文芸誌『Monkey』とアメリカの文芸誌『Monkey Business』の双方で責任編集を務め、日本文学の新しい「声」とそれに共振する世界の「声」とを国境を越えてひろめている。著書に『生半可な学者』(講談社エッセイ賞)、 『アメリカン・ナルシス』(サントリー学芸賞)ほか。訳書の「声」をダイレクトに読者に届ける朗読活動にも精力的。

豊崎由美(とよざき・ゆみ)
豊崎由美
(とよざき・ゆみ)

1961年生まれのライター、書評家。通称「トヨザキ社長」。「週刊新潮」「TV Bros.」「GINZA」「信濃毎日新聞」など各種媒体に連載を持つ。 著書に『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)、『ガタスタ屋の矜持 場外乱闘篇』(本の雑誌社)、『ニッポンの書評』(光文社新書)、『勝てる読書』(河出書房新社)、 『まるでダメ男じゃん! 「トホホ男子」で読む、百年ちょっとの名作23選』(筑摩書房)など。 共著も『文学賞メッタ斬り!』シリーズ(PARCO出版 大森望と)、『百年の誤読』(Kindle 岡野宏文と)、『石原慎太郎を読んでみた』(原書房 栗原裕一郎と)などがある。

古川日出男(ふるかわ・ひでお)
古川日出男
(ふるかわ・ひでお)

1966年福島生まれ。小説家、ただようまなびや学校長。代表作に、おびただしい数の軍用犬たちが20世紀の地球全土を駆けめぐる『ベルカ、吠えないのか?』(文春文庫)、東北6県の数百年間の歴史をある一族のファミリー・ヒストリーを追いながら描き出す『聖家族』(新潮文庫)、前世紀末の東京でのテロ事件に手向けられた異様な鎮魂曲『南無ロックンロール二十一部経』(河出書房新社)など。この4月には「源氏物語」を紫式部の怨霊が語り直すという平安末期小説『女たち三百人の裏切りの書』(新潮社)を刊行した。2011年からは柴田元幸らと朗読劇「銀河鉄道の夜」を制作して国内を回り、そのドキュメンタリー映画『ほんとうのうた』も上映された。

レアード・ハント(Laird Hunt)
レアード・ハント
(Laird Hunt)

1968年シンガポール生まれ。小説家、デンヴァー大学英文科教授。日本では『インディアナ、インディアナ』が柴田元幸の訳で2006年に紹介され、その文体の持つオリジナルな「声」が本読みたちを圧倒した。さらに濃密な語りの「声」に充ち満ちた待望の邦訳第2作『優しい鬼』が、この10月、同じく柴田訳で刊行される(2作品とも朝日新聞出版刊)。日本に住んだ時期があり、NOVAの英語教師を務めたという経歴も。

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http://lairdhunt.net/laird-hunt/

ゲスト

三浦直之(みうら・なおゆき)
三浦直之
(みうら・なおゆき)

1987年10月29日生まれ。宮城県出身。

2009年、日本大学藝術学部演劇学科劇作コース在学中に、処女作『家族のこと、その他たくさんのこと』が王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」に史上初入選。同年、主宰としてロロを立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当する。
自身の摂取してきた様々なカルチャーへの純粋な思いをパッチワークのように紡ぎ合わせ、様々な「出会い」の瞬間を物語化している。
2013年、初監督・脚本映画『ダンスナンバー 時をかける少女』が MOOSIC LAB 2013 準グランプリなど3冠を達成したほか、ドラマ脚本提供、MV監督、ワークショップ講師など演劇の枠にとらわれず幅広く活動。
代表作は『ロミオとジュリエットのこどもたち』『ハンサムな大悟』など。

作品展示アーティスト

大森克己(おおもり・かつみ)
大森克己
(おおもり・かつみ)

写真家 1963年生まれ。個展、グループ展多数。主な写真集に『サルサ・ガムテープ』(1998年 リトルモア)、『encounter』(2005年 マッチアンドカンパ ニー)、『サナヨラ』(2006年 愛育社)、『 Bonjour! 』(2010年 マッチアンドカンパニー)『すべては初めて起こる』( マッチアンドカンパニー)など。2013年、東京都写真美術館 日本の新進作家 vol. 12「路上から世界を変えていく」展に出展。最新作は2015年にMEMで開催された個展 " when the memory leaves you "。また YUKI のCD アルバムカヴァー写真や BRUTUS、coyote などの雑誌媒体でも数多くの仕事をしている。

宇川直宏(うかわ・なおひろ)
宇川直宏
(うかわ・なおひろ)

1968年香川県生まれ。映像作家 / グラフィックデザイナー / VJ / 文筆家 / 京都造形芸術大学教授 / そして「現在美術家」……幅広く極めて多岐に渡る活動を行う全方位的アーティスト。既成のファインアートと大衆文化の枠組みを抹消し、現在の日本にあって最も自由な表現活動を行っている自称「MEDIA THERAPIST」。2010年3月に突如個人で立ち上げたライブストリーミングスタジオ兼チャンネル「DOMMUNE」は、開局と同時に記録的なビューアー数をたたき出し、国内外で話題を呼び続ける「文化庁メディア芸術祭推薦作品」。現在、宇川の職業欄は「DOMMUNE」。
http://www.dommune.com

Info

ただようまなびや 文学の学校

ただようまなびや 文学の学校

日 程
2015年11月28日(土)29日(日)
会 場
郡山市民プラザ
(福島県郡山市駅前二丁目11-1 ビッグアイ 6階・7階)
主 催
ただようまなびや実行委員会
助 成
郡山市
公益財団法人東邦銀行教育・文化財団
後 援
公益社団法人郡山青年会議所
協 賛
郡山商工会議所/ネッツトヨタノヴェルふくしま株式会社/プリマックス株式会社/人形の東月/株式会社青木工機/株式会社大越工業所/株式会社サンエナジー/株式会社三貴商事/サンケン食品株式会社/矢田工業株式会社/郡山さくら通り法律事務所/ 西武エステートシステム株式会社/有限会社長井燃料機器販売/株式会社増子商事
協 力
株式会社フルゲイン/株式会社ムーブメント
対 象
高校生以上
参加費
無料

Exhibition Program
「肉声、肉筆、そして本」

日 程
2015年11月26日(木)ー11月29日(日)10:00ー19:00
※最終日は16:00最終入場
会 場
市民ふれあいプラザ
(福島県郡山市駅前二丁目11-1 ビッグアイ6階)
主 催
ただようまなびや実行委員会
入場料
無料

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